四つの誓い
「四弘誓願文」は「しぐせいがんもん」といい、単に「四弘誓願」と言ったりします。このお経は、法事の最後に読むお経で、三回繰り返してお唱えします。
四弘誓願文は、仏道を求める者が修行に入る前に立てる四つの誓いの言葉です。修行をする者は、この四つの言葉を常に心がけるように努めました。
お経「四弘誓願文」
衆生無辺誓願度
(しゅじょう・むへん・せいがんど)
生きとし生けるものは限りなくありますが、救っていくことを誓います。
煩悩無尽誓願断
(ぼんのう・むじん・せいがんだん)
欲や悩みなど、煩悩は尽きることはありませんが、断ち切ることを誓います。
法門無量誓願学
(ほうもん・むりょう・せいがんがく)
お釈迦さまの教えは数限りなくありますが、学んでいくことを誓います。
仏道無上誓願成
(ぶつどう・むじょう・せいがんじょう)
さとりへの道はこの上もないものですが、成し遂げることを誓います。
自分のため。人のため。
ところで、修行といいますと、技を磨いたり、精神を鍛えたりすることを思い浮かべることでしょう。では、何のために修行をするのでしょうか?多くは自分のため、自分の能力を高めるためだと思います。
しかし、仏教ではもう一歩進めて、自分が修行して得たことを、人のために活かそうと考えます。四弘誓願文でも、まずはじめに「生きとし生けるものを救います」ということが書かれています。
また、人のために何かをしようと思うことは、物事を続けていく原動力になるかもしれません。人のためにすることが自分のためにもなるという教えですね。
そうしますと、「四弘誓願文」というお経は、せっかくの修行を自分だけのものにせず、誰かの役に立てることの大切さを説いているといえるのではないでしょうか。