本 堂
以前の本堂は銅板の瓦でしたが、昭和3年(1928)の火事で焼失してしまいました。現在の本堂は、昭和5年(1930)に再建されたものです。
山 門
山門は、火災にあうことなく、昔のままに残っています。昔は、山門の前の両側に大きな桜の木がありましたが、今はありません。
お寺にある門は、たとえ平地にあっても「山門」と呼ばれます。これは、中国のお寺が、人里はなれた高い山の上に建てられており、日本に仏教が伝わったときに、その風習が残ったからだといわれています。
ほかに、さとりを得るための三つの段階を、三つの門に入ることにたとえ、「三解脱門(さんげだつもん)」、略して「三門」からきている、という説もあります。
また、同じような理由から、お寺にはそれぞれ「山号」というものがあります。この萬福寺にも「寶樹山(ほうじゅざん)」という山号があります。ちなみに「寶」は「宝」の古い字です。
日本でも、延暦寺のある比叡山や、空海(弘法大師)の建てた金剛峯寺(こんごうぶじ)のある高野山などが有名です。
山の上にあるお寺をお参りするために人々は、けわしい坂や石段をのぼって行きました。山門にいたるまでの道中は、人々にとって心を落ち着ける大切な時間を生んだことでしょう。
三十三観音堂
山門のわきには、三十三体の観音さまがまつられています。法華経(ほけきょう)というお経の第二十五章は「観音経(かんのんぎょう)」とよばれています。観音経には、観世音菩薩が三十三もの姿に身を変えて人々を救う、と説かれています。西国三十三観音の「三十三」という数字は、これに由来します。
ちなみに「菩薩(ぼさつ)」とは、さとりを求めて修行する者という意味です。ただ単に修行の身ということではなく、「この世で悩み、苦しんでいる人がすべて救われるまで、私だけさとることはできない」と、あえて世間にとどまって人々を救おうとする人のことです。他人も自分も、みんないっしょに幸せになろうという仏教の考えがあらわれています。
地蔵堂
地蔵堂には、六体のお地蔵さま(六地蔵)に加えて、子供を亡くされた方が奉納された七体を合わせた、十三体のお地蔵さまがおまつりされています。
お地蔵さまは、正式には「地蔵菩薩」といいます。菩薩ですから観音さまと同じで、みんなの幸せを願うのがお地蔵さまです。お地蔵さまは古くから、あの世とこの世の間にいて、地獄に行く人を救ったり、幼くして亡くなった子供を鬼たちから守ってくれると信じられてきました。これを「地蔵信仰」といいます。
鐘 楼(しょうろう)
親しいご寺院さまと檀信徒の篤志家の方々のご協力によって、平成21年(2009)に完成しました。年末には、除夕(じょせき)の鐘をつきにいらしてください。